♪〜〜♪〜♪〜〜〜 アタシは今、思わず鼻歌を歌っちゃうぐらいにとぉ〜っても上機嫌!! それというのも……ジャジャーン!こちら、開園したばかりの遊園地の無料招待券ー! アタシがこないだ、にいから商店街の福引券を貰って、早速やってみたら…見事にコレが大当たり! それで、今日はにいと一緒にその遊園地に行くことになってるの♥ これで、にいと一緒にジェットコースター乗ったり、コーヒーカップをグルグル回したり、巨大迷路に入ったり……そして最後に、観覧車の中で夕日の光に包まれながら……にいと……♥ なぁ〜んて、アタシってば〜……きゃあっ!!? |
イタタ……そんなこと考えてたら、ぶつかっちゃった……にいのバカぁ……。 「いたたぁ…」 「あっ、大丈夫?ごめんなさい!」 「…ううん…みずはダイジョウブ……って、あれ?海羽ちゃん?」 「あ、瑞葵ちゃん!」 どうやら、ぶつかっちゃったのは瑞葵ちゃんみたい。こりゃまた偶然。 「で、瑞葵ちゃんどうしたの?お出かけ?」 「うんっ!これからあっちのおっきな川に行って、“さばいばるぎじゅつ”の特訓をするの!」 「ほぇ〜。で、どんなことするの?」 「んっとねぇ、岩の上で転ばないように、岩から岩にジャンプしたり…」 「ほうほう。」 「ロープの縛り方を石でやってみたり…」 「へぇ〜。」 「水の上を走ったりとか…」 「ふむふむ…………ん?今……“水の上を走ったり”とか言った?」 「うんっ!けどね、これはとっても便利なんだけど、できるようになるのがムズカシくて……みず、なかなかできないの……。」 そりゃできないって、とアタシは心の中で突っ込んだ。できるのは楓ちゃんと忍ちゃん……ぐらいじゃないかぁ? 「ところで……海羽ちゃんはどこに行くの?」 「へ?あ、そうそうアタシはね…………」 ……あれ? 「……海羽ちゃん?」 「あ、あれぇ……?おかしいな……?」 ポケットというポケットは全部探したし……もうほかに探す所なんて無い……まさか。 「……無い。」 「?」 「にいと一緒に行く遊園地のチケットが、なぁ〜〜いっ!!」 「えぇっ?!」 …と思ったら、瑞葵ちゃんの横にそれらしきものが!! 「とぁてぇーいっ!!」 「?!」 アタシはびっくりしてる瑞葵ちゃんを尻目に、一気にチケットに飛び掛った……んだけど……。 ビュウッッ!! 「「きゃあっ!!?」」 いきなり突風が吹きつけて……チケットはアタシの手から逃げるように空高く……飛んでいって……。そして、アタシは…… 「べしょっ!」 …見事、顔から着地……。 「………。」 「う、海羽ちゃん……。」 普通の女の子だったら、ここでへこたれちゃうと思う。 「………。」 「……海羽ちゃん……?」 「……こっの〜……待てぇーーっっ!!」 けど、アタシはそうじゃなかった。起き上がって、すぐにチケットを追いかけた!だって、ここで諦めたらにいとのお出かけがパァになっちゃう! 「あ!み、みずも手伝う!!」 「オッケー!さぁ、確保だぁーーっっ!!」 ……数分経過…… ……未だに……確保……できません……。 チケットは……かなり……高いところを……飛んでいて……全く……手が届きま……せん……。 というか……もう……疲れて……ヘロヘロ……。 瑞葵……ちゃんも……もう……バテバテの……はず…………あれ? 「……瑞葵……ちゃん?」 「どーしたの、海羽ちゃん?」 ……普通だ……。しかも……笑顔……。 「……疲れて……ないの?」 「うーんとね、ちょっとだけだよ♪」 「……こんなに……走っといて……?」 「だって、いつもこのくらい、走ってるもん♪」 「い……いつも……?!」 「そーじゃないと、探検してる途中で、動けなくなっちゃうもん。」 「な……なる……ほど……。」 アタシは……かなり……驚愕した……。アタシより……ちっちゃいのに……こんなに……動けるなんて……。 「瑞葵ちゃんは……すごいね……。」 「ううん、海羽ちゃんだって、こんなヘロヘロでもがんばってるもん……とってもすごいよ♪」 「えへへ……そうでもないよ……。」 ……さらに数分経過…… まだまだ……確保……できません……。 というか……距離も……遠くなってきた……。このままじゃ……追いつかない……。 「みずの“さばいばる・ひみつのななつどーぐ”!」 「……へっ?……秘密の……七つ道具……?」 いきなり……瑞葵ちゃんが……いっぱいあるポケットのうちの……紙のはみ出したポケットから何かを……取り出そうとしてた……。 「そー!コレを使って……アレをこっちに……近づけるの!」 瑞葵ちゃんは……自信満々に言って……それを取り出したんだけど……。 「……それ……輪投げの輪っか……?」 「うん♪」 「あ……あんですとー?!!それでやるの?!」 「ダイジョウブだよっ♪さっそく、てやぁーーっ!」 そう言って……瑞葵ちゃんの投げた輪っかは……空高〜く飛んでいって……一回チケットの上を越えてくと……戻ってくるときに、チケットにクリーンヒット!ヒットしたチケットは、グッとアタシたちに近づいてきたのだっ! 「おぉっ!」 「てへへ〜♪」 「も、もう一回やれば……もっと近くに……!」 「えっとね……海羽ちゃん……実はね……“ななつどーぐ”はね……ひみつにしとかなきゃならないからね……一個ずつしか持てないの……。」 「………。(萌え沈黙)」 ……さらにさらに数分経過…… ……アタシは……もう……ダメみたい……。だんだん……足が……言うこと……きかなくなって……。 チケットは……瑞葵ちゃんのおかげで……手が届きそうな……ところまで……落ちてきてるんだけど……もうちょっとで……手が……手が届かなくて……。 瑞葵ちゃんは……さっきより……断然、疲れてて……手を伸ばしてるんだけど……アタシよりもちっちゃい分……やっぱり届かなくて……。 けど……このまま……諦めたくない……諦めるわけには……いかない…………にいとの……お出かけのためにも……!! アタシは……最後の力を……振り絞って……右手をチケットに、限界いっぱいに伸ばした。 そして……アタシの右手は、何かを掴んだ……その瞬間。 「海羽ちゃん……!」 耳に入ったのは、瑞葵ちゃんの声。 アタシの目の前には……真っ黒なアスファルトが……。 ……数十分経過…… 「ん……うぅん……?」 「……あ!海羽ちゃん!!」 「あれ?瑞葵ちゃん…?」 「よかったーっ!目が覚めたんだぁっ♪」 「あ、そっか……アタシってば、転んじゃったんだっけ…………あ!チケットは?!」 目が覚めて早々、チケットを掴んだはずの右手を広げてみた。けど、そこにあったのは…… 「し……新聞紙の……切れ端……?」 「……あのね、海羽ちゃん……?」 「どうしたの?そんなモジモジして?」 「あのね……ちょっとだけ……言いづらいんだけどね……」 「?」 「その……チケットね……みずの……ポケットの中に……入ってたの……。」 そう言って、瑞葵ちゃんはアタシに遊園地のチケットを渡してくれたのです。 「瑞葵ちゃんのポケット……?そう言えば……何か紙がはみ出てたけど……。」 「……そう……それが……そうなの……。」 「あ、あんですとーー!!!」 |
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