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突発不定期連載SS:自信家な狼と気ままな海蛇。 Phase.1-狼の策略-






「はぁ……困りましたわね……」

漆黒のサマードレスに身を包んだ少女は、悩んでいた。

そうとだけ聞けば、実に可愛らしく思われるだろう。
だが、その少女の存在は、この現状を見るとあまりに不自然だった。
まずは、今の此処は冬だということ。
次に、ここが数億数千万年前・・・・・・・の地球であること。
そして、彼女のその衣服からは、至るところから鋭利な刃物が生えていたこと。

彼女の名はエリス――「月牙の人形」ウルフエリス=フュージョン。狼の祖たる上級アーキネオシスターが1体である。

「全く……どうしてそういうことになるかしら……」

くどいようだが、彼女は悩んでいた。
その悩みの種というのは、もちろん今回のバトルファイトのことである。

「……どうして、上級アーキだけが残るのかしらね……。」

目の前の現状を思い、彼女は溜息をついた。

「これでは、一人で勝ち上がるのは無理なのでしょうか……。」

また今回も、狼の時代が来ることは無いのか……
はぁ、ともう一度溜息をつくと同時、彼女はある事を思いついた。

「……そうですわ! 一人でダメなら、協力者を探せばいいのですわ!
 そして、協力するだけ協力してもらって、1対1になったらあとは即刻ポイですわっ!!
 そうすれば、このバトルファイトの勝者は、わたくしになりますわ……っ!」

狼のネオシスターである彼女がこのようなことを思いつくのは、非常に珍しいことだった。狼ゆえに1体でいることが多く、手を組むことも殆どしなかった……いや、今回が初めてかもしれない。
思い立ったが吉日。彼女は早速協力者を探そうと思案した……が、ある事を失念していた。

「えぇと、今生き残っているのは……わたくし、杏奈ちゃん、若菜ちゃん、いずみちゃん、成慕ちゃん、秋那ちゃん、瑞葵ちゃん、錺ちゃん、久遠ちゃん、聖ちゃん、鏡子ちゃん、湊ちゃん…………そうでしたわ、下級ネオシスターがいないのでしたわ…」

そう、下級ネオシスターは既に姿を消していたのだ。
残るは上級アーキ……カテゴリーJである彼女にとっては、自分と同等か、あるいはそれ以上なのだ。

「うぅーん……カテゴリーK相手じゃわたくしが倒されてしまいますし、最強のカテゴリーJの聖ちゃんも同じく、多分もう杏奈ちゃんと若菜ちゃんは組んでて手強い、鏡子ちゃんは下手するとわたくしより知恵が回りますし、秋那ちゃんは一度タガが外れるとすごいことになりますし、錺ちゃんは……ちょっと、何をされるか…………となると……」

消去法で残ったのは、海蛇の祖たるネオシスター――「蛇眼の旅妃」サーペントミズキ=アブゾーブだった。

「あの娘なら、上級アーキにしてはまだ小さいから騙しやすいですし、一応カテゴリーQなのだからそれなりに強いはずですわ。やる気にすれば、カテゴリーK打破も可能かもしれませんわね……♪
 それに、最後の戦闘も陸上戦ならこちらに分がありますわ。所詮は海蛇ですものね。」

彼女の脳内では、着々と戦闘プランが描かれていった。

「……えぇ、これならいけますわ。待っててください、兄さま……わたくしが必ず、勝ってみせますわ……!」

彼女は立ち上がると、咆哮を始めた。
それは紛いもない、狼の雄叫び。
まだ得てもいない希望を得たような笑い。
それを早計と気付かぬ、愚か者の咆哮。






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あとがき








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