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ピンポ〜ン……

「はい、どちら様で……って、じいやさん?」

「はい。亞里亞さまはそちらにいらっしゃいますか?」

「えぇ、いますが?」



亞里亞は今、兄やのお家にいます。

亞里亞……亞里亞のお家から、逃げてきたの……。













Au revoir













10日前のお昼のジカン……亞里亞のお家にお電話がありました……。

そのお話を聞いてたじいやは……とってもムズカシいお顔をしてたの。

そしてじいやは……電話を置いて、ムズカシいお顔をしたままで、亞里亞を見ました……。

「亞里亞さま、非常に言いにくいのですが……急にフランスに帰らなくてはならなくなりました……。」

じいやは亞里亞にそう言ったの。けど、いつものじいやみたいなお声じゃなくて……ちょっぴりゲンキがなかったの。


「亞里亞、フランスに帰らなきゃいけないの……?」

「亞里亞さまのお母様からのお話で……亞里亞さまだけ、フランスに戻って来て欲しい、とのことでして……。」

じいやに聞き返したら、そう答えたんだけど……ちょっとヘンだったの……。

「兄やは? 兄やは……いっしょじゃないの?」

「はい……兄やさまは日本で色々ご用事がおありですし、お母様も『亞里亞さまだけ』とおっしゃられてますし……これもきっと、ステキなレディになるための修業です。」



亞里亞は、兄やに会いたくてフランスから来ました。

亞里亞が困ってたら、いつもいつも助けてくれる兄や……。いろんなことを教えてくれる兄や……。とってもステキな兄や……。亞里亞の優しいだいすきの兄や……。

兄やに会いたくて、日本に来たのに……。



「いやいや……いやなの、兄やのそばを離れるなんていやなの!」


……だから亞里亞、兄やのお家に来たのよ。

じいやはやっぱり、「そういう訳にはいきません」って言って……亞里亞をフランスに連れてこうとしたの……。だから、じいやはキライ……。
けど、兄やならきっと亞里亞を日本にいさせてくれるの それに、ずっと兄やの近くにいられるの♪




「いますが……どうかしたんでしょうか?」

「亞里亞さまからお話は聞いておりませんか?」

兄やとじいやが、ドア越しにお話を始めました……。

けど、そのときの兄やは……なんだか遠くに行っちゃうような気がして……とってもコワクなったの……。

「兄や……。」

亞里亞は、兄やのお洋服のすそをギュッとつかんでいました……。

そしたら、兄やはチラッと亞里亞のことを見て、じいやに「中に入って話をしましょう。」って言ってから、亞里亞をひょいって抱っこしてくれたの……

けどね、兄やのお顔……あんまりゲンキじゃなかったの……真剣なお顔をしてたの……。けど、亞里亞が「どうしたの?」って聞くと、兄やはなんでもないよって言って、いつもの笑顔にもどってくれました。


「……亞里亞さま、兄やさま、お待たせいたしました。」

あ……じいやが来ました……。

けど……あれれ? じいや、怒ってると思ったのに……なんだかかなしそうなお顔してるの……。それから……両手にとっても大きなスーツケースがふたつ……。

「亞里亞さま、フランスに戻りましょう……。」

「……ど、どういうことなんですか、じいやさん?」

兄やがビックリしたように、じいやに言いました……。

それから……兄やとじいやはお話し合いをしてました……。けど、亞里亞……お話の中身、ゼンゼン覚えてないの……。

その間じゅう、ずぅっと考えてたの……。フランスに帰ったら……兄やに会えないの……ずっといっしょにいられないの……。








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